企画展「3.11現場の事実×心の真実 結~消防・命のプロが見た東日本大震災」
「結(ゆい)」
このタイトルは、仙台市消防局のレスキュー隊員が、東日本大震災後に初めて東北で行われた「第46回全国消防救助技術大会」(仙台・宮城大会)のスローガンとして考案したものです。消防救助の基本である結び(結索(けっさく))や、全国から駆け付けてくれた関係者だけではない、語り尽せない方々との結束や、支援への感謝が込められています。
私たちは、東日本大震災で「何を失ってしまったのか」「何が失われていないのか」「何が新しく生まれているのか」。7年が過ぎて見失いかけている「何か」とは、失ってはならない「何か」とは、何のでしょうか。
あの災害がなければ気づけなかった「何か」という空白に「結(ゆい)」の一文字が浮かびます。
救助の現場で対峙していた命と命。そしてその生存を祈っていた人の命。この三つの命の関係は、距離(世界規模)も、時間(心と噛み合わない)も、様々を過ぎていて、不安と割り切れない葛藤を抱えながら、自然の猛威のただ中を巡った、三角点のそれぞれでありました。
無数のそれらの点こそ「結び目」なのではないでしょうか。
そして今。現実と関わる生き方の実感は、私たち一人ひとりが自分で感じるしかありません。人間と人間、人間と自然との命の「結」を、自然と共に生きる私たちの幸せのために、真摯に、素朴に、見直せたならと願います。
せんだい3.11メモリアル交流館
館長 八巻 寿文
■共催/仙台市若林消防署
■展示内容
ここ仙台で、津波被災現場の最前線に立っていた若林消防署職員が2011年5月から7月にかけて書いた未公開の手記、隊員へのインタビュー、沿岸部救助活動等に使われた資機材のほか、発災時に非常時体制となった消防の活動記録などを展示します。
■空間構成/大沢佐智子、編集・インタビュー/谷津智里、映像/さとうたいち、ビジュアルデザイン/Skystars.LLC、英訳/Nancy H. Ross