企画展「せんだい3.11メモリアル交流館の1年」
2016年2月にせんだい3.11メモリアル交流館が開館してから1年が過ぎました。私たちスタッフが交流館に身を置きながら感じるのは、東日本震災後の「状況は、さまざまである」という、当たり前であり、しかしながら、なかなか気づきにくいことです。いまだに展示室の中に入って震災当時の写真をご覧になれない方もいらっしゃいます。一方で、壮絶な体験をしたことを写真や地図を見ながらお話ししてくださる方もいらっしゃいます。交流館の外へ視点を移しても、新しく住宅や商業施設ができているところ、震災前と変わらない町並みが残っているところ、津波で家屋が流出して更地になっているところがあり、それぞれに状況は違います。
この1年の間に仙台東部沿岸地域で出会ってきたのは、東日本大震災で大きな被害を受けた地域としての側面だけでは決してありません。この地域がもともと持っていたたくさんの魅力にも出会った1年でした。
東日本大震災で大きく被災した事実も、まだ心が癒えない人が暮らしていることも、四季の移ろいをしっかり感じられることも、月命日以外にも被災した場所で人々が寄り合っていることも、すべてがこの仙台東部沿岸地域の現状です。この地域を見る時の視点もまた多様であることに気づきます。
今回の展示は、私たちが交流館の運営をとおして出会った「この地域での1年」の記録です。大震災を経験した町に居ながら、見て、聞いて、考えた「状況は、さまざまである」ということ。私たちの歩みをご覧いただきながら、皆さんの視点で改めて仙台東部沿岸地域を見つめてみてください。