企画展「みんなでつくるここの地図」
東日本大震災から7回目の夏を迎える仙台市東部沿岸地域。防潮堤や道路、津波避難施設が新たに建設され、農地の復活と自然本来の蘇生も相まって、人工物と自然が共存するエリアとなっています。住んでいる人、離れている人に関わらず、地域住民の皆さんの活動も目に見えるようになってきました。暮らしが整ってきた証です。小さいながらも個性的な活動が、この地域には蠢いているように感じます。
本展では、仙台市東部沿岸地域に点在する集落について、これまでの歴史や目に見える風景、住民の方々が語った言葉など、それぞれの地域の文脈に触れるためのヒントを展示していきます。あわせて、参加者の皆さんとともにメモリアル交流館の外へと出掛けてさまざまな活動に触れつつ思い出と記録を重ね、展示に新たな情報を加えながら仙台市東部沿岸地域の情報をより豊かに伝えていきたいと考えています。
展示会場には、若林区荒浜出身のミュージシャン・佐藤那美さんが仙台市東部沿岸地域の音を集めて制作した音楽が流れます。変化の激しいこの地域には今しか見られない光景があるように、今しか聞こえない音もまた存在することに気づくかもしれません。
会期最終週(10月20日(金)・21日(土)・22日(日))には、イラストレーター・佐藤ジュンコさんによって『仙台沿岸イラストマップ』に新たな場面を描き加えていただく予定です。
私たちの足元に深く眠る記憶、目には見えない暮らしの姿、この季節だからこそ出会える風土に触れてみませんか。ご参加をお待ちしています。
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日時:2017年7月11日(火)-10月22日(日) 10-17時
会場:せんだい3.11メモリアル交流館 2階展示室
入場無料
休館日:毎週月曜日、祝日の翌日(土・日・祝日を除く)
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≪参加アーティスト≫
佐藤那美(ミュージシャン)
1990年生まれ。宮城県仙台市荒浜で育つ。震災を機に音楽制作をはじめる。2011年、七尾旅人主催の東日本大震災義援金募集プロジェクト DIY HEARTSにてミニアルバム「in spring at the north wasteland」を発表。 2013年、アルバム「ARAHAMA callings」を配信リリース。 2016年3月11日には一昨年と昨年に引き続き、自身の母校である荒浜小学校でHUNGER(GAGLE)、會田茂一、恒岡章(Hi-STANDARD)、KGMらと「HOPE FOR project」にてライブセッション。ピアノを中心に楽器を全て1人で演奏するスタイルで、東北での音楽制作を続けている。
佐藤ジュンコ(イラストレーター)
1978年、福島県伊達郡霊山町(現・伊達市)生まれ。仙台市在住。2014年まで仙台の書店に勤務。2015年からイラストレーターになる。著書に『佐藤ジュンコのひとり飯な日々』(ミシマ社)、『月刊佐藤純子』(筑摩書房)、『仕事場のちょっと奥までよろしいですか?』(ポプラ社)がある。河北新報夕刊に「街で会いましょう」連載中。
(2017年10月28日フェイスブック投稿記事より)
【企画展「みんなでつくるここの地図」、終了いたしました!】
7月から開催しておりました企画展「みんなでつくるここの地図」は、10月22日に最終日を迎えて無事に終了することができました。ご来場いただいた皆様、関連イベントにご参加いただいた皆様、ありがとうございました!
展示会場に設置した「記憶のサイコロ」には、来場者の方々によってさまざまな時代の記憶や思い出が書き加えられ、が来場者の方々によって書き加えられていき、少しずつサイコロが重ねられていきました。
また、音楽家の佐藤那美さんによる音楽制作プログラム「ここから新しい音を紡ぐ」では、各地域で録音した音にはだんだんと音楽が重ねられていき、最終的には「その日みた光景」も「たしかにここにあった街のにぎわい」も再現されているようで、展示室全体があたたかい雰囲気になりました。
最終日に開催したイラストレーターの佐藤ジュンコさんによる仙台沿岸イラストマップの公開制作「思い出をさらに重ねて」では、開館以降来館者の皆さまに加えていただいた思い出の多さに改めて驚いた次第です。ジュンコさんによってそうした思い出も含めて描き加えられて、イラストマップはリニューアルされました。これからの暮らしの中で紡がれた思い出が書き込まれ、再びたくさんの付せんによってマップが覆われることを願っています。
メモリアル交流館の周辺に足を運ぶことで重ねられていくさまざまな思い出。自分だけの特別な場所や忘れられない場所が増えていくことで、大震災を経験した仙台東部沿岸地域への眼差しも多様になっていくことを、大震災から7年目に開催した今回の企画展で実感いたしました。メモリアル交流館でも、館外に足を運ぶ機会を今後もつくっていきながら、新しい出会いと思い出を重ねていきたいと考えています。