企画展「仙台市宮城野区蒲生字町87」
七北田川の河口付近、左岸に位置する地区に、日本一標高が低い山、日和山があります。その山頂からは国の鳥獣保護区、蒲生干潟が広がって見え、この場所にしか生息できない数多くの希少な水辺の生き物や、絶滅が危惧される野鳥の拠り所になっています。少し遠くを見ると、そこには国際拠点港湾、仙台港の巨大なクレーンが見えます。時に、大きな船がゆったりと行き交う景色に出会ったりします。
貴重な自然環境と国際的な物流拠点、そして地域の人々の暮らしが共存していたこの地域は、東日本大震災の発生により災害危険区域に指定され、住民は慣れ親しんだ土地から移り住むことを余儀なくされました。
この企画展では、今なお復興工事が続くこの日和山を含む周辺地域の現在と、震災以前の地域の暮らしに注目します。変わりゆくもの、変わらずにあるものを見つめた先に、何が見えるでしょうか。
【展示内容】
〇映像作品「Mind the Gap」
地下鉄荒井駅から日和山までの道のりを、3台の車載カメラで撮影しました。あれから6年半が経過した「現在」の風景をご覧ください。(制作:一般社団法人NOOK)
〇立体地図模型と日和山のジオラマ
高砂市民センター主催事業「中野ふるさと学校」で、地域に愛着を持つ住民たちの想いのもとに制作された立体地図模型(昭和33年と平成18年の風景)と、震災前の日和山を再現したジオラマを展示します。
〇蒲生の震災前の風景写真
昭和40年代に計画された高砂地区の区画整理をきっかけに、地域の風景を記録し続けてきた地元の建築家・写真家の高橋親夫氏の写真から、平成10年~平成16年の蒲生の写真にスポットを当てます。